読んだ。今朝の電車から読み始めて、打合せを挟んで一気に読んだ。
痛い女であることを分かりつつ恋する20代後半がターゲットっていうと、殆どのひとが「あ私も」て思うんじゃない?
楽観的すぎかな。
最近あまり小説を読んでない。
でも彼女の文章は、頭の中に元々あった分かりやすい言葉に、クスっと笑える言い回しのスパイスが利いていたから、あっという間に読めた。
例えば高齢処女、なんて正式にないだろうけどすぐ分かる言葉が、散りばめられている。
そういえば著者綿矢りささんは私と同じ年齢で、同じ早稲田大学に通っていた。
最も、彼女は既に学生時代に芥川賞をとっているけれど。
出てくるものに違和感がなさすぎるのは、やはり少し環境が近いからなのか?
素通り10回くらいはしているのかもしれない。
タワーマンションでの鍋とか、
夜明けのドトールコーヒーとか、
タクシーの中でもたれかかってくる男の大きな体とか、
結婚願望を隠しているところとか、
見慣れたオフィスが全く見た事のない新鮮に見えるときとか、
男の人の嬉しさをにじませた背中とか、
自分の痛い姿を客観的に見ているところとか、
この人なら安心だと話していた事が公開されていたショックとか、、、、。
主人公とわたしの性格は全然違うのに、
出て来ている用語や主人公の感情全てが「見た事のあるもの、知っているもの」だと思わせている時点で、彼女にやられてる。
そういえば、芥川賞の蹴りたい背中も読んでいない。
いつか確かめたい。この主人公は綿矢りさに近いのか遠いのか。
もし遠いなら、どうやってこのリアリティを出しているのか。
綿矢さんに会って、確かめたい。