通訳案内士の仕事をしていること、外資系企業のつながりからたくさんの外国人をアテンドしてきたこと、異国料理から文化を理解するNPOLunchTripの代表をしていることから、
日本の食業界の「フードダイバーシティ(食の多様性)」は、私にとって身近なテーマです。
つい先日も、次世代の代替肉(オルタナティブミート)食べてみた という記事を書いたし、過去にもいくつも関連する記事をブログにも、新聞や雑誌のコラムにも書いてきました。
先日、フードダイバーシティ株式会社が主催したセミナーに出席しました。
自分自身の経験とも、たくさん結びつき、そうそう!!!と首を縦にブンブン振る点が多かったので、いくつか私なりにまとめます。
ベジタリアン対応してるお店は、食べログに記載?
→外国人が調べる媒体に絶対表記して!外国人は食べログ見ません。
外国人が日本にきてみるサービスは食べログではありません。Google Map,Instagram, Trip Advisorに、ベジタリアン対応をしてあることを明記してください。
私も知らなかったのですが、Happy Cowという世界中のヴィーガンの人御用達のアプリがあり、それに登録しておけばほとんどの人が見てくれるそうです。
ベジタリアンって、イスラム教の国だけ対応すればいい?
いや、訪日観光客上位の国で、ベジタリアン比率を出していくとこうなります。
一位インド、二位台湾、三位ドイツ、四位カナダ、五位シンガポール。
イスラム教のイメージの強い、アラブ諸国やインドネシアばかりではないんです!
台湾なんて、意外でしょ?でも、素食といって精進料理のような台湾料理がたくさんあるのです。私が昨年台湾料理に行ったときもオススメされました。(時間がなくて行けず残念でした)
外国人が食べたいWASHOKUは懐石?ベジタリアンにはサラダを出しておけばいい?
いや、普段の私たちが日常的に食べてる料理を対応させるが正解です!
これはね、ヴィーガン関わらず多くの日本人が勘違いしそうになるのですが、私たちは外国人に「本格的な和食」を食べて欲しいと思うようです。
☝️まさに通訳案内中に出た懐石。旅行会社が準備したツアーでは、毎晩のように夜懐石で、本当にお客さんはうんざりしてた。
実際人気があるのは、カレー・ラーメン・そば・海鮮丼・オムレツなど、本当に一般的な食べ物なのです。
だから、これらをベジタリアンの人も一緒に楽しめるようにする、という風にしたお店が、本当に人気が出ます。
それが例えば以前も書いたハラルラーメンだったりするわけです。
また、名古屋では「山本屋大久手店」さんが初めてヴィーガン対応・ハラル対応をした名古屋料理(手羽先、味噌煮込みうどん、味噌カツなど)を出したところ、
今まで対応している人がないからと名古屋は素通りだった人たちが、
対象者が一人でもいれば、その団体に選ばれる?
はい!私は以前、ヴィーガン対応のお店が見つからなくて、毎回リピートしていたお店があります。
それは、しゃぶしゃぶ温野菜。
ここであれば、二色鍋になってて一緒に楽しめるし、ベジタリアンのひとは野菜だけを楽しむことができるからです。
でも今はGONPAHCIだってヴィーガン対応してるらしいんです。
(GONPACHIウェブサイトより)
この二つは大人数が入るので、今後も会席の時などはこのお店を知ってるだけで便利だな、助かる、頼れるな、と思います。
全メニューを対応させろと言ってるわけじゃない。でも、一部のメニューをしっかり対応させて、ポリシーを明記すれば良いのです。
一人そういう人がいるだけで全員のためにそんな店を選ぶのか、と言われるかもしれません。
でもその一人にとっては、食事ができなくなってしまう事態なのです。
だから、ハラル対応をしているかどうか、がわかるだけで、グッと選ばられる率が高まるかと思います。
そのほか、セミナーの後半にはベジタリアン対応しているお店のインタビューがあり、とてもいい話がありました。
名古屋 山本屋大久手店 青木さん
Q,接客で気をつけていることはあるか?
外国人きたらやばい、というのじゃなくて、笑顔で受け入れるのを大事にしてる
英語も話せない人にも、NOと言わない。
わざわざインドネシアとかパキスタンから来日してドキドキしながらドアを開けてきたお客さんに、怖い顔でNOと行ったらどんな
「自分がマレーシアに行って、どんな接客されたいかを考えて接客しろ」というと、高校生のアルバイトも腑に落ちる。自分ごとにして働ける。
Q.そのほかによかったことは?
採用コストが大幅に下がった!
毎日いろんな国の留学生や、日本で働く外国人から求人で100以上きてる 働きたい、と
ナイジェリア、オマーン、など多国籍。
求人広告を出すこともなく、採用コストもゼロで集まってる。
自由が丘 菜道 楠本勝三さん
Q.メニューはどのようにして決めていったか
和食の概念を覆していく必要があった。
最初は、ベジタリアンのお客さんには出すものがなく、白飯とお味噌汁だけを食べてもらっていたが、物足りない
あるお客さんが「ねこまんま」のようにお味噌汁とご飯を合わせて食べた。
それにヒントを得て、おじやを出した。
そしたら大人気!
残されない、食べてもらわないと満足度は成立しないから
まずどう食べてもらうか、その食文化に寄り添いながら行った。
✅最後に、私が思うフードダイバーシティで大事なこと
- 顔を思い出す
ベジタリアンの話をするとき、今まで日本に遠くから一世一代の旅行として来てくれていたベジタリアンの友人、同僚、お客さん、みんなを思い出します。
みんな、ご飯は来日目的の一つなのです!
なので、それをベジタリアンの人もそうでない人も一緒に食べられることは、ものすごく喜びに値します。
2. きっかけが、お客さんの幅を広げる、儲けるためのダイバーシティだっていい!ということ。
それによって助かる人がたくさんいる。
せっかく日本に来ても、ホテルに帰って母国から持ってきた冷えた料理を食べるのと、ベジタリアン対応してくれてるお店のご飯食べるのと、どっちがいいか?少し高くても、後者を選ぶんです。
ぜひ今のうちに、ベジタリアンの種類の勉強などして、対策をしてください。
・ハラル認証を取る(取らなくてもOKらしいけど)
・ポリシーを明確にする
・レシピを開発する
・メニューを整える
・外国人に見つけてもらえるようにする
いろんなことをしないといけないと思うけれど、、待ってる人たちはたくさんいますよ!
私は彼女彼らが、どれだけ日本で苦労してたかを見ているので、ベジタリアン対応お店の和食が増えたら私も嬉しいです!
過去の
- ヴィーガン英国人が日本に来たらVegan Travellers in Tokyo (2017/10)
- 通訳案内中、米国MBA生から聞かれた質問 (2014/5)
- 心配だよ、日本のインバウンドツーリズム: You can’t talk about inbound tourism without this (2016/5)