本を読まなくなっていた。
以前は会社勤めしながら月8冊くらい読んでいたのに・・・ここ半年は、月1冊読むか読まぬか。というわけで、この秋は久々にたくさんの本を乱読中!
先週はこれ。
池上彰
お茶の水女子大学特別講義 世界を変えた10人の女性 (Amazonリンクに飛びます)
お茶の水大学の集中講座で、10人の話を池上さんが説明。
なので、池上さんが話しているようなかんじですっと入ってくるのが特徴です。
ちなみに10人は下記。
1.アウンサンスーチー
2.アニータ・ロディック
3.マザー・テレサ
4.ベティ・フリーダン
5.マーガレット・サッチャー
6.フローレンス・ナイチンゲール
7.マリー・キュリー
8.緒方貞子
9.ワンガリ・マータイ
10.ベアテ・シロタ・ゴードン
正直言って、、この中の2,4,9,10の4人のこと、私は何をした人かすぐにわかりませんでした。
それに1.アウンサン・スーチーさんも漠然と「祖国を守ろうとしているミャンマーの人」というイメージしかなかった。
他の方も殆ど一行、二行で説明できるくらいしか知らなかった。恥ずかしい限りです。
池上さんがなるべく平坦でわかりやすい言葉を使っており、
しかし人物像を批判的に、さらに奥まで見るようにお話ししているのがいい。
例えば、アウンサンスーチーさんは「田中真紀子のようだ」とよくいわれるという話。
つまり、祖国の為に戦っているのは確かだけれど
小さい時から有名で裕福なお父さんの元に育っているから、
周りの人みなを家来のように扱う、などという人物像の表も裏も教えてくれる。
そして、なぜあんなに国民に指示されるのかさえも、わたしは知らずにニュースをみていたことに気づかされた。。
課題とディスカッション
一章一章も面白いのですが、
最後の章にある学生のレポート発表の授業の様子がとても面白い。
課題とは、「『世界を変えた女性』たちの多くに共通する資質とは何か、あなたの考えを800字以内で述べなさい」というもの。
それに対して、池上さんは
一度回収して全て読んだ上で、生徒に原稿を返し、読み上げさせ、何故書いたかを説明させ、さらにディスカッションさせるのです。
そのディスカッションが、「批判的なコメントを心がけて下さい」というものだから面白い。
私は自分が留学中に日本人の集団を客観的にみて気づいた事は
「日本人はとてもよく頷く」ということでした。
相手に同意を見せる事が、次の会話に繋がる日本では、
会話の中で相手を否定し批判することは、なかなか難しいと思う。
池上さんもこう書いています。
「面と向かってだとやりにくかったり、自分はどうなんだろうか、とか、後で仕返しが怖いと思ったりなかなか難しいと思います。
しかし、「大学というのは切磋琢磨してみんなで寄り良く高め合っていく場です。だから、遠慮会釈なしに批判してください。〜発表した内容をより良いものにしようと、みんなで検討しているのだと、そういう風に受け止めましょう。」
これこそ、素晴らしい!と思う。
批判する事を避けていては、新しい視点は生まれない。
よりよい議論にするためには、相手を批判的にコメントを残していく、そういった姿勢が日本の学校でも会社でも日常の中で取り入れられていく事を願う。
一見それは「和」を崩しているようにみえ、嫌な状態と捉えられるかもしれない。でもその方がより良い結果に結びつくのであれば、そうしよう!
肝心の共通な資質については、さすがお茶の水の学生!と思う論文がいくつもあった。
とてもいい課題だよね。
わたしも課題「10人の共通資質」について書いてみました。これで785文字。
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最初の資質「社会の問題を自分の使命と捉えられる」点について。この10人はどちらかというと家庭状況や学力に恵まれて育った人が多かった。
だから、裕福になり社会を変えずに保守的に生きることもできたはずだ。
しかし、自分が属さない貧困層を助ける事が自分の使命だと神のお告げを聞いたマザー・テレサや、幼少期見聞きした日本女性の辛い状況を憲法草案で是正しようとしたシロタ・ゴードンのように、避けようと思えば社会問題を自分の使命として活動しているのだ。
次に「一度は批判されたりしている」点について。
Mottainaiを広めたワンガリ・マータリは、米国からケニアに帰ると、女性なのに高学歴で成功しすぎていると猛反発を受けている。
キュリー夫人も二度目の結婚の際には強烈なバッシングを受けている。
他にも、女性という点、恋愛の点でも多く批判を受ける人物が多い。
最後に、「続ける事で信頼を得ている」という点は、目の前の状況の中を一つ一つ過ごしていく中で見つけた次の課題を順にこなしているように見えたからだ。
彼女達は夢などという言葉を使っていない。
夢を叶えて終わりなのではなくて、そこで見つけた社会の問題に対して関わり続け、小手先ではなくて大きく体制や規範を変えることを実現している。
例えば緒方貞子は難民の定義を変え、ナイチンゲールは看護の常識を変えた。
当初は多大な反対を受けたことも、今ではそれが当然だ。逆に「当然」を創ったからこそ、世界を変えたと言われるのだ。
追記として、妻や母として成功したか否かは、10人の中でも一様ではないし本書でも詳細不明だ。
ただ、20世紀は世界を変えるにはその役割を捨てる傾向があったのではないか。
21世紀を生きる私達は、その点をも変える事が出来れば、と願う。
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本を読んだ人誰かから、建設的な批判コメントもらえるとうれしいなあ^^
素敵な1週間を!