山形高畠続き
講演を終えると、そこには一人の紳士が待っていた。
この方と奥様が、先生を夕飯へお連れ出しします。
綺麗で小柄な女性がそういうと、紳士は「寒くないですか」などと言って車へ案内してくださった。
「ここから30分で米沢市へ着きますよ」
車の中では私が講演で話したコミュニティ作りについて話が弾んだ。
「スポーツ店を三代続けてやってるんですが。ただ部活とか学校とかと連携するだけではなく、プロテインを買っている人をつなげてコミュニティを作ったら面白いかなと思ってるんです」
「いいですね!筋トレ好き同士、プロテインの栄養素について語りあいたいはず!」
聞けば体育館なども建設しているという・・これは地元の名士一家か。
そこに奥さん登場。私と歳が離れていないように見えた、とても美人な奥さん。
顎のラインがキュッと引き締まっており、肌がツヤツヤ、何より笑顔が素敵な美人だった。
お店に到着。
なんだかホテルのようなシャンデリア付きの3階建のお店で、
それぞれの階には米沢牛のステーキ、しゃぶしゃぶ、焼肉が入っている。
「一番味がわかる」ということで焼肉へ。
次々に運ばれてくるお肉の各部位。ここは天国か。
そして芋煮。
芋煮は東京でいうバーベキューのような存在で、皆で川辺で集まって里芋をハフハフ食べるという。
またサラダには菊が入っていた。
小さいながらも味が濃くて存在感が強い。
日本の国家である菊。黄色と、濃い紫の二種類の菊が混ざり合っていた。
そして、最後に食べたのが肉寿司。
口の中に入れた瞬間とろけるような感覚。
食事の間2時間ほど、初めて会ったご夫妻と私はいっときも止まらず話し続けた。
奥さんがもともとCAだったこと。
大学時代アメリカに留学していたこと。
旦那さんが私の実家のすぐ近くに住んでいたこと。
共通点を探すわけでもないのにたくさん見つかるこの感覚が面白かった。
生まれたばかりのお子さんの話に。
彼が大きくなっていくときに、どんな世界になるだろう。
美男美女夫婦におもてなしいただき、本当に素敵な夜だった。
〜〜〜〜
宿泊したホテルは米沢ではなく高畠にあった。
この高畠、びっくりすることに駅に温泉がある。
駅に温泉!ホーム出たらそこに「湯」と出てる。
だから、部屋着で駅をうろうろしている人がたくさんいる。
良いお湯でした。
〜〜〜〜
翌朝は朝ランニングしようかと思ったら、雨が降っていた。
秋の雨はしとしと、のはずがなぜかザーザーぶり。
車で10分の高畠ワイナリーへ。
東北最大と言われるこのワイナリー、センスがいい!
丁寧に植えられた色とりどりの花や、この壁の色が落ち着いててよかった。
ワイナリーですることといえば、試飲と買い物。
朝一から甘いワインを小さなカップ一杯飲み、少し思考が弱まったところで思った以上に買い物をしてしまう。
それにしてもまだ朝の10時だというのにすごい観光客の量だ。
観光バスの名所となっている様子。
私が買ったのは、ワイン2本、米沢牛ご飯かけ、ラ・フランスジャム、生ハム、そして日本酒。
東京に戻ってこれをあげたら喜ぶかな、、、
渡したい人の喜ぶ顔を思い出す作業は楽しい。
特に今日は、恵比寿に戻っての誕生日会メンバーを意識してのラインアップ。
帰るところがあるっていいね。
最後に、ランニングする予定だったまほろば道を通る。
雨の降る美しい紅葉も悪くない。
こうやって私の短い2日間山形旅は終わった。
今、新幹線でこれを書いている。(この後写真を入れるのが時間かかるんだけどね)
ここでいくつか気づいたことをメモ。
この土地の少し訛った話し方が好き。
おじちゃんやおじちゃんが当たり前のように少し訛った話し方で話しかけてくる。それだけで温かい気持ちになれる。
夜は本当に真っ暗。
化粧水を忘れたので駅から一番近いコンビニに買いに行ったのだけど、その数百メートルの間真っ暗すぎて怖くなって走り出したくらい。
9時に外に出ていたら「夜遊び」の世界がここにある。
これは若者にはたまらなくつまらないよなあ。
野菜やご飯が本当に美味しい。
なんてことないホテルの朝食も、全くおしゃれじゃないんだけれど美味しい。
ご飯に卵をかけたTKGの美味しかったことよ。
日本の田舎デザインに慣れない。
これは嫌味でもなんでもないのですが、恵比寿・代官山に住むと西洋っぽいトレンドに囲まれすぎてる。
だから、ダンボールに書かれたおじいさんの字とか、八百屋の雰囲気とか、そういうのに慣れない。
いつの間にかそういうものは写真を撮らなくなってしまっているし、実は5月まで「もっとこうしたらいいのに」とかよく思っていた。
でも、新潟の旅で地方出身の友達にいなされた。
「いや、ここがおしゃれになったらダメだ」
「こっちが求められてるんだ」
確かにデザインとして美しいかは別としても、
求められているのはおじいちゃんとかおばあちゃんの字で書かれていて、決しておしゃれじゃない田舎の観光地的な感じ。
このほうが安心する人が多いし、ほっこりするんだそうだ。
おそらく私は、郊外で育って今は都心に住んでるので、
その「かっこよくない・おしゃれじゃないもの」を排除しようとする心が無意識に働いてしまう。
(自分自身はおしゃれじゃないからこそ、必死でそれを排除)
でも今はまたそれを一生懸命受け入れようとしてる。
自分の中の違和感を受け入れる時期。
この感じ、うまく伝わるかな・・・
さて、もう東京が見えてきた。
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