*舘鼻さんのお話は二回連載。
第一回:六本木アートカレッジ(2013.11.23)で聞いたよ
第二回:単独インタビューしてきたよ
12月初旬某日。
ライターの仕事をしていて の醍醐味!
直接本人にインタビューする機会を得た。
内容は今後繊研新聞の連載でもまとめて発表するつもり。
でもその前に、全貌を見せてしまおう!
恵比寿駅から6分程度。西口を出て左の坂を上っていき、もう一度左に曲がると、
お店はあった。
入ってすぐに、マネージャー白石さんが見えて、続いて館鼻さんが見えた。
奥の部屋にはいって、わたしは前週の六本木アートカレッジ後に調べた内容を聞いた。
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Q.日本人、というアイデンティティの話が多いがどうしてそれを考えたのか
高校の時にファッションデザイナーになりたかったから欧米を見てそう考えたというが、具体的にはどこに行って何を見て何にショックをうけたのか
二年生の時に友人に貸してもらった流行通信に、マルタンマルジェラの記事があった。
そこには今まで考えていた美の追求やきらびやかな世界はなく、コミュニケーションツールとしてのファッションが存在していた。
素材だけではなく中身を伝えようとするそのファッションで、物を買うという事は自分の中身を反映するということを考えるようになった。
自分の中身、つまりアイデンティティを考えるとそれは日本であるとしかなかった。
洋服というものの発祥はもちろん西洋ではあり、日本ではない。
Q.海外のお客さんが殆どとのことだが、海外の”受け”を意識しているか
A.基本的に日本のものを海外にどう知ってもらうかことを考えているから、いつもどのようなものだったらフックするかを考えている。
例えば外国人は桂離宮が好きだが、日本人は平等院が好き。そういったフックの違いを良く考える。
初めて海外にいったのは大学三年生のときにフランスやベルギーに留学するかどうか見に行った時だったが、それ以前から。外国人の編集する日本の本や雑誌をよく眺めて外国人の目を意識していた。
Q.花魁にそこまで興味が出たのはなぜか
A.風俗として分かりやすかった。
基本的に明治以前のものは写真がない。吉原は不健全なカルチャーだが、だからこそ人が集まる、そこに注目した。
Q.日本文化を世界へ、という名前で他の国へ出て行く例—例えば着物を使った鞄などは珍しいものではない。沢山見るが、あまり成功していない。成功の要因は?
A.根本的に美術学的にみるかっこいい、という感覚はやはり大事。
昔からある着物と西洋のバッグをくっつけるだけではそのまま行けない。
Q.ギャラリーPocketにかける意味は
A.アーティストに発表の場を作る事の夢を持ち始めたのはは1年前。裏方もやりたいと思っていた。ある意味成功した自分がこれからも一人で勝ち続けるよりも 他の人も一緒に勝つチームを作らなければならないと感じた。
イチローが一人強くたって、マリナーズは優勝できないのだ。
自分は5人パトロンがいて生計を立てる事ができるが、殆どの人は日中バイトをして食いつないでいる。そのような状況を変えたい。
だから、このPocketには二つの意味がある。
一つは日本人へのアート教育。アートを見る場、それに対して意見を言う場があると感じるので、その練習の場となれば幸いだと言う。「なんかいいな、好きだな」と思う作品に対して、その理由を自分に問いかけ、何かしらその理由を表明することが日本では少ないから。
もう一つは日本の若いアーティストをお客向けて発信する場。
日本ではなく海外でこのギャラリーを行うことも考えたが、お客さんを輸入する方向で考えている。
将来的に拠点を増やせたら良いなと思う。
アーティストは何かしら自分を突き動かすものがあるはずだが、言葉にするのが苦手。
だからギャラリーのマネージャーである白石さんが作品の中身や方向性をディレクションしたり、アドバイスしたりする。
日本のローカルな家族連れにも来てほしいし、もちろん海外の人にも気軽に来てほしいという。
六本木アートカレッジは人数が多かったから、
今日は特別授業だね、そういってインタビューは終わり。
うん、確かに特別授業だ。ラッキー!