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コラム執筆
2020/8/3号TRAVEL JOURNAL 掲載
コロナ禍で悩む居住エリア話、
1ヶ月前のの頭の中をそのまま書きました。
校正前の文章全文バージョンはこちら🔽
私事ですが現在妊娠中である。妊娠期間はほぼコロナ期間とかぶる。なので、私は体調もあり、政府が宣言する前からずっと外出自粛をしていた。
自粛している家は、山手線の主要駅からたった5分、地下鉄からは2分、その他にも徒歩10分圏内に駅が2つ、利便性はピカイチだがだがとにかく小さい部屋。背の高い夫と私が一人暮らしをしていた部屋にそのまま住んでいるのでとにかく狭い。同棲も含め過去2年、お互い国内外の出張で年の数分の一は家を空ける多忙さを理由に、大きな不満なくここまできた。
ただ、今年の秋には子供も生まれる。海外出張も国内出張も当分ない今、もう少し広く快適に住む場所を本格的に確保しなくては行けない。
とはいえ、3月から悪阻が始まり、4・5月は丸ごと体調を崩しており、さらに緊急制限で内見さえできなかった。やっと6月から内見を始めた。まずは気に入っている、現在の近所から。
そして気づく。「子育てには狭くて自然の少ない都内じゃなくて、やっぱり広々とした郊外のほうがいいんじゃないか?」
私は都市圏の郊外育ちだ。鎌倉で生まれ、千葉・埼玉・兵庫、そして10代は東京の23区外で過ごした。
郊外で育った私には都心への憧れがあったのだろう、社会人になって数年してから今まで10年弱、便利な場所に住んできた。
最初はアクセスの良い世田谷区。そして次は憧れの渋谷区へ。住んでみたいランキングでよく1位になる駅で、日常的にセンスのいいカフェとおしゃれな人々が闊歩する。食べるのが大好きな私にとっては、新たなトレンドの店が家の近くというのもワクワクした。
感度の高い人たちと出会える意味も大きい。面白い仕事をしている友人サークルを作り、誰かが一言悩み中といえばその夜に集まって話を聞き、お互いの家にも行く。朝は一緒に目黒川をランニングし、海外から友達がくれば、家の近くの最近のトレンドスポットをその友人たちと連れて行った。お互いの仕事の助けもできる。近所に住む・働く人を50名ほど集めて完全にプライベートな飲み会を行なったこともあった。帰りの終電なんて気にしなくて良い。自転車でもタクシーでも歩いても帰れる距離だからだ。
仕事でも、ここにいたからこそチャンスが掴めたことも多かった。気になる人の登壇のイベントがあれば当日パッと行って繋がったり、知り合いのオフィスが家の直ぐ近くなんてこともよくある。新発表説明会に呼ばれる時と、夜のビジネス登壇の服は違うから一度帰って着替える、なんてことも簡単にできる。仕事とプライベートの人間関係が交差し、独立してからの3年間は特に、ここに住んでいるからこそ成長できたところが大いにあった。
だがここにきて、子育てという人生の大きな節目だけじゃなくてニューノーマルな生活になる。急に、生活の当たり前が変わるのだ。会社勤めではないので元々通勤はなかったし、顧客ともウェブ会議を交えてきたが、今後も基本的にウェブだ。イベントも、ウェブ上でのイベントのサポートが増えた。実際悪阻ととコロナで、この3月から友人と意図的にリアルで会った回数を数えたがなんと4回だけだった。それ以外は皆オンラインで飲み会したり相談したりお茶したりしてる。友人との個別、グループともに繋がりが薄くなったとは特に感じなく、濃くなったものさえある。
こう思うと、あれ?私、都心にいる意味ってなんだっけ。
友達にすぐ会える?仕事のチャンスが巡ってきやすい?トレンドが肌感で掴める?
そのどれも、子育ての最初とニューノーマルに役立つのだろうか。
ただ、新たなことをチャレンジしていく区政は好き。子育てというだけでかなり大きい変化なのに、そこに大きな生活変化を伴う引っ越しを重ねると辛いよ、というアドバイスも聞く。
対する比較エリアは湘南。公園やスーパーが多く程よく田舎で、都内アクセスも1時間と悪くない。仕事で都心に出る頻度が減るならば充分妥当な気もする。ただ、今まで私が楽しんでいたような上記のような出会い・仕事のチャンス・トレンドに触れる数は減るだろう。
シリコンバレーでも同じようなことが起きているらしい。東京ほど狭い家というものはないものの、とにかく高い家賃を支払い続けるよりは、家でのワークスペースを十分にとれる郊外にしようというのは一緒だ。今やNYマンハッタンより高いと言われるサンフランシスコ内シティ内に住んでいた友人は、車で2時間半のタホへの引っ越しを決めた。IT企業は軒並み年末までオフィスを閉めてリモート推奨しているのだから、当然の選択とも言える。東京と同じだろう。
ただ東京にしてもサンフランシスコにしても、中心地の資産価値は早々に下がらないだろう。都市一極集中は世界中で数百年かけて動いてきた潮流で、便利な土地の人気は落ちないと予想する。結局長い目で見たら、人々は都市に戻ってくるのかもしれないし、そうではないかもしれない。
自分たちの未来像、社会の動きを見ながら、毎日夫と友人たちと熱く議論をする日々である。
この号が出ている頃には、決断しているはず。
ウィズコロナ・子育てという新たな時代と人生の変化が一気にきている中、容易ではないこの選択を、1ヶ月後の私に託そう。