やっとこれを書ける日が来た。。産後もう直ぐ3週間ですが、出産当日レポを書きます!
_______
予定日3日前の月曜の朝5時半-。起きたらなんだか冷たい。
ん?これは?寝ぼけた頭で濡れた感覚がわかり、飛び起きる。
えっこれオネショ?はたまた破水か?
妊婦は赤ちゃんのいる巨大な子宮で膀胱が圧迫されてるので、尿道が緩む。とはいうけど、それにしても布団の濡れた範囲が広いし無臭だ。ベッドルームからリビングに行って携帯で調べると、やはり破水(=胎児を包む卵膜が破れ、中の羊水が流れ出ること)だ。でも全く陣痛ないぞ?
夫を起こして、産院に電話すると「ではすぐに来てください」とのこと。でも違ったらどうしよう恥ずかしいな陣痛ないしな…と思ったり、洋服どうしよう、と考えたり、家を出てからもコンビニでおにぎりを4つ買ったり、この時点でかなり余裕があった。結局タクシーに乗ったのが6時過ぎ。
乗車中、少し痛みがくるが、もともと生理痛が重いのでまあこれくらいは耐えられるかな、という感じ。6:30頃に病院に着いてからもスタスタ歩き、助産師さんに「こりゃもう4センチ開いてますよ」、と言われてもまだあまり実感がなかったので、残りのおにぎりの2つ平らげた。
夫には「オネショだったらごめん、破水だったら入院、今日か明日以降に出産かも」と話してあり、1Fで待機してもらっていたが、いきなりLDR(分娩室)に来てもらうことになった。
分娩室で横になってからは急に陣痛が来始めて、そこからの1時間半は地獄の痛さだった。
お腹や腰全体が感じたことのない重力に耐えるようだ。赤ちゃんが産道に向かっておりてくるのがわかる。ゴゴゴゴゴ、グリグリグリグリ、という効果音では表せない痛み。
気づけば「早く麻酔入れてくださいー!」と懇願していた、というか叫んでた。ただ、食後2時間は麻酔を入れられない。さっき呑気におにぎりを食べた自分の食い意地を恨んだ。タクシー乗ってすぐ食べきれば30分早く麻酔が入れられたのに…と。助産師さんたちに、「でも食べたほうがエネルギーが出るからいきみが上手くいくよ」と慰められた。(👉無痛分娩妊婦さんへのアドバイス:産気づいたら、なるべく早くにたくさん食べろ)
8:40になり、無事麻酔科医師がきて、麻酔が入る。去年の死産でこの工程は行なっていたので、特に怖くはなかった。太い針を背中に注射に刺し、15分くらいすると下半身の感覚がひく。少し寒く感じる。
ここで一気に「今までの死闘はなんだったの」と思うほどに楽になり、そこから2-3時間 、InstagramやFacebookに「今から出産しまーす!」なんて浮かれた投稿したり、今朝濡らした布団について、洗濯機の説明書PDFを探して母と夫に送ったり、、まあ余裕。麻酔で眠気や吐き気が来る人もいるが、私は幸い眠気だったので、一眠りした。
ただ無痛分娩にすると陣痛で押し出す力が弱くなり、長期戦になる可能性があるので、無理ない範囲内で早く産むのが好ましいと言う。
痛くなったら麻酔ボタンで自分でも追加できるし、お産が進まないようであれば麻酔科の医師判断で促進剤を追加する。そろそろ生まれるのか、と思うと「あと2時間くらいですね」と言われる。長いような短いような。
_______
と言ってるうちに、だんだん赤ちゃんの頭が下がってきた、と助産師さん。「じゃ、いきむ練習をしましょうか」とのことで、おへその方を見て、一気にお尻から便を出すような感じでいきむように言われる。夫には後頭部を抑えてもらう。息は長く、目を閉じない。
セーノ、と助産師さんたちが声をかけてくれて「フンヌーーーーーーーーーー!!!」といきむ。
上手ですね!赤ちゃんどんどんきてます!と応援がかかる。なんか体育祭みたい。そして一気に病室にバタバタと人が増え、もう産んじゃいましょう!と言われる。
フンヌーーーーーー!!を5回くらい繰り返す、それこそ渾身の力で。途中「赤ちゃんの頭見えますよ!」と言う声。なぜか不安はゼロ、明るい外の光の木漏れ日を感じ、安心して集中してる自分がいた。
そうしたら、思ったよりも早く「産まれました!」との声。気づけば自分の股から頭が見え、その次の瞬間小さな人間が取り上げられてる!
産まれた!産んだ!人間産んじゃった!!
その瞬間、集中していた頭が一気に幸せホルモンに切り替わる。オギャーと言う声が部屋に響き渡り、顔が見える。夫に似た、目が大きな女の子。可愛い!!
子供が無事生まれるだけで充分だと本気で思っていたので、見た目は二の次、考えても仕方ないから考えてなかった。
でも産まれた瞬間に親バカになった。
「可愛い!カワイイ!」「人間産んじゃったんだよ!すごい!!」「私のお腹にいた子が、こんな可愛かったなんて」「ほんとに私たちの子?これ夢?現実!?」とずっと興奮マックス。
「人生で最高の日!」といったら夫が「えっもう結婚式超えたの」というから同率一位と言うことになったw
涙が出るのかと思ったら、笑顔と冗談と興奮だったのが私たちらしいかもしれない。
______
取り上げられて一度助産師さんのチェックを受けた子供が、数分後自分の横に来た。
そしてカンガルーケアといって胸に抱いた時、ああ生きてる、と思った。
小さくてふにゃふにゃで、ついさっきまで自分の体の中に居たんだとと思うと変な気持ち。白い胎脂がついていて、まだ少し血の匂いもした。この匂いで、去年7月の子供を思い出した。同じカンガルーケアだったけど、その時子供は、もう息をしていなかった。
今回は息をしてる。目を開いてる。それだけでもう充分だった。
(これを書きながら、今頃感動して涙・・・ホルモンw)
実はその間に会陰が縫われていたり、胎盤が取られていたようだけど、あまりそちらに気が回っていなかった。とにかく元気な産婦でうるさかったかもw
写真を撮る時間をいただき、3人での写真、私と娘、夫と娘。まだ夢みたいだった。
______
娘が検査等で先に上の階に連れて行かれ、私は麻酔が切れる2時間はベッドで待った。説明を受けたりしていたらあっという間。
安産でしたねと言われた。陣痛を本格的に体験したのは1時間半、麻酔後6時間ちょいで産んだとのこと。
麻酔が効いてるので助産師さんが身体を拭いてくださり、車椅子で入院部屋へ。夕飯を食べた。
夜子供が部屋に来た時は、寝なくてはとわかっていても、ずっと顔を見てしまった。
ほんとにこの子が数時間前まで自分のお腹に居たんだ、、、可愛すぎる、、
この世の何よりも弱くて無垢な存在。産まれてきてくれてありがとう。
小さな顔に大きな目で一生懸命見返してくれる姿が愛らしくて、コロコロ変わる表情が面白くて、カメラよりも目に焼き付けたいとずっと見た。写真もたくさん撮ったけれど。
しゃっくりをし始めた時は、これかあ、と思った。よくお腹の中でもしてたね。
小さいあんよを見て、この足で蹴ってたんだなあと思った。よくキックをしてたよね。
世界中の美しい景色を見てきたし、これからも見たい。でも産まれたての我が子の顔は、それらの美しい景色に匹敵するし、超えるかもしれないとこの時思った。
と同時に、産み落としたらもう別人格の存在でもある。母として、彼女が誇れるような人間でいよう、と思った。
______
今回の出産は、第一子ではあるけれど初産ではない。
私は今までの2人の子供たちが、娘の出産を温かく見守ってくれたように思えてはならない。それくらいスムーズに安産だったから。
出産翌日個室が空いてうつったら、そこは723号室だった。7月23日は、去年私が死産した日だ。見守っているよ、というメッセージを受け取った気がして、私はそこで初めて涙が出て止まらなかった。
医学的に考えても、前回の子供が作ってくれた産道があったからこそ、ここまで早く産むことができた。
この2年、自分の流産・死産をきっかけに多くの方の不妊不育出産育児、そして色んな家族のストーリーを沢山学び、わたし自身もいろんな家族の選択肢を考えた。言わないだけで痛みを抱えている人、辛いことがあっても前に向かっている人がなんと多いことか。
信じれば叶うとか、そんな簡単なことは言えない。でも、苦しんだことは無駄じゃない。私はそれで得た人との繋がり、尊敬があるし、世界がある。今目の前が真っ暗になっている去年の私みたいな人たちに、どうか伝えたい。どんな形だとしても、苦しみがずっと続くことはない。
自分の子供のお葬式なんて人生で一度も経験しなくていい。でも今、きっとそれも無駄じゃなかった、とやっと思える。
私は今、世界で一番幸せだよ。