東京都美術館で行われていた、
『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』展にいってきました!
『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』展にいってきました!
下記、公表されている告知文。
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『ハーパース・バザー』や『ヴォーグ』等のファッション誌を中心に、第一次、第二次世界大戦を挟んで活躍した、アーウィン・ブルーメンフェルド(1897-1969年、独→米)の国内初の個展を開催します。
〜中略〜
今回、ブルーメンフェルドのご遺族、関係者によって、1930年代のヴィンテージ・プリントや作家自身が選出した名作100点、カラー復元された美しいファッション写真などが集められました。
本展覧会はパリのジュ・ドゥ・ポーム美術館に先んじて、それらの資料から独自の視点で構成した約290点(資料含む)の作品群をご紹介する貴重な機会です。
シュルレアリスムからヌード、ファッションまで網羅し、多くの写真家に影響を与えたブルーメンフェルドの表現ですが、その陰には二大戦に翻弄され、時代に応じて活動の場を選択せざるを得なかった作家の苦悩が存在します。
作家の活動を通し、時代背景、思想などに視点を向けると、美しい表現の根底にある精神が見えてくるのです。華やかな作品に隠された美の秘密をぜひ探してみてください。
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わたしがいったのは終了ギリギリの5月5日。
入った瞬間、
「なんでもっと早く来なかった!!!」
とムンクのように叫びたくなる。
だってこのセンス。
この色使い。
写真構造。
女の人をエロチックではなくファッショナブルに描くその才能。
聞くと、世界で一番高い写真家と呼ばれていたという。
特に私が好きなのは、これ。
ポスターが欲しいんだけれど、見つからない。作るべき??
彼が描く女性像は20代-30代の白人女性で、眉毛がしっかりとあり、口紅をきちんとひいている。
乱れた姿の美しさという概念はない。きちんと化粧して衣類をまとった女性像が現れてる。
女性は「女性的」であるべき。そういう価値観があったのだろう。
例えばセクシーだけれど中性的なイメージも持つKate mossはこの時代だったらヒットしなかったんじゃないかな。
彼が描く写真は主に50年代のvogueなどの雑誌表紙に使われていて、
そのVogueのタイトルがまた面白かった。
カトリックの女性像とか、男性と共に働く事に着いて、とかが表紙に書いてある。
アメリカ人の友人によると、human right movement(人権運動)の前は、女性像もそんなものだったそう。
ちなみに、以前のエントリー「コンプレックスとファッションと編集長」で書いたDianaさんは1960年前後までHarper’s Bazaarで編集していて、その後1962年にVogue編集長になったとのことだから、時代は少しかぶってるね。ただ、DianaのVogue編集長時代のほうが性に対してオープンな作品が多い気がします。
雑誌の写真の他に、広告、セレブの写真、白黒ヌードを撮ってる。
アメリカ人かと思ったら経歴を見ると、1897年ドイツ生まれ。
手書きでのノートも全部ドイツ語だった。
最初は革のバッグ屋さんで生計をたてていたらしい。
そのときに、写真でお客さんの写真を撮っていた。
革のバッグ屋さんが破産した時、今度はその写真の腕が役立った、というわけ。
1936年にはパリに移る。上記告知文にあったように、世界大戦の影響。時代に翻弄された、というのはこういうこと。でも、そこで有名アーティストHenri Matisseを撮る機会などに恵まれ、Vogueの契約カメラマンに。
1941年にはアメリカに渡ってすぐに Harper’s Bazaarと契約。
その後米Vogueとフリー契約して多くの表紙写真を撮るまでになり、 その後15年でSeventeen, Glamour and House & Gardenと有名雑誌の表紙を飾る。
ここまで読んで、わたしの頭の中ではすぐに思い出した人がいた。
そう、前回書いたBill Cunningham New York の、ビルおじちゃんの人生。
NYタイムズの名物ストリートスナップを撮るビルも、最初の帽子屋さんを営んでいた。
帽子屋さんで失敗して事業を畳んで、そこからのジャーナリスト→写真家の人生だった。
ビルもアーウィンも、二人とも抜群のセンスをもっていたのは確か。
そして、戦争等に翻弄されながら成功しているのは40才以降というのも共通点。
ただアーウィンはもっと皮肉屋で、自伝で「僕は暗室から暗室へ動き回って生きて来た」と書いてたけれど。
ただアーウィンはもっと皮肉屋で、自伝で「僕は暗室から暗室へ動き回って生きて来た」と書いてたけれど。
もちろん、最初の事業で大成功する人もいる。
でも破産し、国さえも動かなくてはいけなかったアーウィンはパリの5年間でチャンスをつかんで、アメリカでモノにした。
会社を辞めてもうそろそろ1年。
正社員ではなくフリーランスとして働きだしてからも数ヶ月経ちます。
おそらくアーウィンの人生でいうと今私は「パリ時代」。
だから今、つかまないと!
だから今、つかまないと!
美しい写真に囲まれながら、勝手にアーウィンに活をいれられたような気がしています。参照ページ:
Erwin Blumenfeld wikipedia
東京都写真美術館
ダイアナ・ヴリーランド wikipedia
Erwin Blumenfeld wikipedia
東京都写真美術館
ダイアナ・ヴリーランド wikipedia