こんにちは。コミュニティコンサルタント兼トラベルコラムニスト兼 NPO LunchTrip共同代表の松澤亜美です。今日はコミュニティの話です。
この6月から、グリーンズの講座を受け始めました。
皆が幸せになるお金ってなんだろう?コミュニティ経済と地域通貨・仮想通貨、未来のお金を考えるクラス
なぜ今この講座?
講座の詳細は見ていただければと思いますが、私としては、コミュニティメンバーが一番HAPPYになるコミュニティづくりってなんなのだろうとずっと考えていて。
もちろん企業活動の意味のコミュニティづくりを行なってきたしこれからも行なっていくのですが、もともNon Profitの活動LunchTripを行なっていた私としては、一方的な広告の代わりだけの意味のコミュニティだけではないためには何ができるんだろうと考えていました。
また年始に読んだ、書籍お金2.0の影響も大きい。(読んでない人がいたら、絶対読んで!講座生にもお勧めしました。)これからのお金の価値はただ中央集権が決めたものから、民間・個人が作って行くものに変わっていくと内容に共有しました。
コミュニティビジネスに今関わる人なら外せないのが「トークン経済」という言葉。そのコミュニティ内独自の単位で発行される価値をどう高めていくか重要な時代、これらを学んで講座やコンサルにも反映したいなと思いました。
これらを学ぶため、毎年恒例の大好きな初夏キャンプを泣く泣く我慢して参加したのが6月2日の第1回でした。
藤野で地域経済について学ぶ
第1回はいきなりフィールドワーク。
中央線、高尾からさらに乗り継いで「藤野」という相模原の奥地まで2時間弱かけて来ました。もともと藤野市だったのが相模原市に統合されたそう。
現地で初めてお会いする他の講座生の皆さんは、それぞれ「資本経済に疑問」な新卒の人もいれば「パレスチナの難民キャンプで働いていてキャンプ内コミュニティ通貨があれば職が作れると思った」「建築・土木関係をしていて未来の街づくりに興味がある」など様々。確実に、いつも私が触れているITマーケのコミュニティとは別の意味でコミュニティを捉えていた。それだけでも来た甲斐があったと思いました。
藤野市は、「パーマカルチャー」や「シュタイナー教育」が盛んで学校も揃っているため、それを求めて移住してくる30代以上の夫婦や家族も多いそう。もちろん、仕事を求めて若い人が出ていってしまうのは他の地方と同じだけれども、移住者が多いお陰で人口減少スピードは遅いと言います。
(晴れて気持ちいい藤野町)
早速地域通貨を使ってみる
藤野では「よろづ」「ゆいーる」という地域通貨があるとのことで、それを特に説明なくまずランチで使ってみるということだったのですが、いきなり混乱した。笑
ランチをしたお店では、1000円のランチに対して、よろづ通貨を持っている私たちに10%を値引きしてくれました。そのぶん、私たちは自分の「通帳」に「-100」と書きました。お店側は「+100」。そしてお互いの名前を書く。
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どうやら、してもらったことは「マイナス」、してあげたことは「プラス」なんだということはわかる。
その後ランチを一緒にしていた人たちでディスカッション。これはどういうことだ?!?!となり、高橋先生(藤野よろづ通貨事務局)に質問したところ、下記のことがわかりました。
よろづ通貨とは
よろづ通貨とは、コミュニティの助け合いのきっかけづくりである。助け合ったら、「通帳」にお互い何をしたかを記入する。
たとえば、「1回きりしか使わないであろう少2の娘の革靴、500よろづで貸してくれないかな?」「家具の移動が大変なんだけれど、誰か200よろづで手伝ってくれないかな」というときに、メーリングリストに投稿する。そうすると、誰かが返信してくれて、取引が成立。
貸した人は通帳にプラス、貸してもらった人はマイナスと記入する。
それを繰り返して行くと、通帳には「私はこんないいことをしたんだなあ」というプラスのログが溜まって行く。また、マイナスが溜まると、「私はこんなに助けてもらったんだな」という内容が可視化できる。
メーリングリストを使うのは、おじいさんもおばあさんも使いやすいから。
月1回説明会があり、移住者や希望者、よく藤野を訪れる人には通帳を発行する。
Q.使用人数は?
A.藤野町9,000人のうち、約400世帯弱(子供入れたら1000人)
Q.運用ルールは?
A.地域の情報か、困りごとを、メール投稿。時間は夜10時まで。取引成立したときにはその旨を連絡すること。
Q.移住のためのブランディングに使っているの?役所との関わりは?
A.意識的にコミュニティ通貨をブランディングに使っているわけではない。藤野町の役場は立ち上げも運用も全く無関係。むしろ最近活用したいと役場から相談がくることも。
Q.トラブルは?タダ乗りして、とにかくバンバン使ってマイナスばかりになって、人の善意を蝕む人はいないのか? また、高すぎるなどのトラブルは。
A.トラブルは基本自己解決してもらい事務局は関与しない。人の善意を蝕むような人は今のところない。それは400世帯という見える範囲で行なっているから。
マイナスばかりになってしまった人がいても、その方は誰かの得意なことを発見するのが得意だったということ。だからと言って責められるわけではない。
よろづ金額は基本的に自分たちで決めてもらっている。相場は特にない。
Q.なぜ、通貨と言ってるのに通帳なのか?
A.紙幣型より通帳型の方が、「これだけいいことをしてきた・してもらった」というログが見えることで地域貢献意識が高まるから。
Ami’s 感想
話を聞いていて、「メルカリアッテ+ジモティー+オンライン掲示板(アメリカでいったらCraigslist)・facebookグループ」に、ログ機能と数字価値をくっつけたような感じかしら・・・?と考えていました。
わざとオフラインで「通帳」という紙に書くのは、これをきっかけに会って話してもらうことを目的としているから。
どうしてもデジタルな世界だとスケールさせることが目的となってしまうけれど、今回の通貨はコミュニティ地域活性だったり地域貢献意識を高めることがいちばんの目的なのも、発見でした。
また、これがうまくいっている理由の一つに、「人数がそこまで多くない」ことを高橋先生はあげていたけれど、おそらく教育レベルも、大きく関係する。パーマカルチャー・シュタイナー教育のために移住してくる人が多いというのもあるだろうなあ。と思った。
コミュニティがうまく回る条件として絶対条件が「共通のゴール」だと思うのですが、ここでは「助け合いたい・助けられたい」というゴール認識ができている人が多い。
次に、「紙幣型地域通貨ゆーる」のお話を聞きに
次に行ったのは、「廃材エコビレッジゆるゆる」。
廃材で作られたこの建物の中には、バー、ステージ、泊まる場所、アートスペースなどがあります。移住してきた飛龍さんが、廃材工場を買い、その中のものも全て廃材で作ったそうです。独特の世界観に気づく。(蛇足ですがオレゴン留学中に出会った風景と似ている気がします。古いものを大事にしていて、でもなんかおしゃれ。)
集客が得意で楽しそうな飛龍さんは村民のコミュニティを活性化。フェスなどのイベントをやるうちに、「この人たちからお金取るのもなんだから」と始めたのが、「ゆーる」という仮想通貨です。
今度は、よろづ通貨と違って「紙幣型」なのも特徴です。
基本、僕らにとってこれは遊びだからさ、ゆるゆる村長の飛龍さん。なんか、かっこいいい・・・。本業はこの村長ではなく、万華鏡アーティストだそうです。
ゆーるを使いたい人は最初は500円硬化をこのガチャポンでゆーるに「換金」することから始まる。
この廃材エコビレッジゆるゆる内では、ゆーるで飲み物を買い、ゆーるで宿泊をすることが可能です。その際、一つひとつの値段は決まっていないから、全部投げ銭 or 「投げゆーる」システムで成り立っています。バーなんて、お酒をひと瓶持ってきたら飲み放題しらしいからすごい。また、この廃材エコビレッジ以外でも、ゆーるを使って近所で卵を買うことも、市場では野菜やラーメンやパンを買うこともできるそう。
最初は20人規模で始めたのが、100人にまで増えたと言います。
ゆーるの使用頻度は週1回を超えることはなく、別にメインの通貨に使用代替ができるようにしようとも思っていない。
このエコビレッジの維持費は年間3万円だから、遊びでいいんだよ、という飛龍さんはなんかもうヒッピーにしか見えない。
GOD of ゆるゆる。KING OF 地域通貨。君臨。
また、もし円に換金したいと言われたらそれも可能だそうです。「その場合、俺が全部買い取っちゃうかけどね!」と飛龍さんは言います。
(一瓶持って来たらほかのお酒も飲み放題のバー。)
Ami’s 感想
私は、これを聞いて「学園祭内の特別通貨」がしっくり当てはまるなと思いました。さっきのよろづは「地域貢献のため・地域に絡むきっかけを掴むため」に通帳でログを見せていただけれど、今度のゆーるは紙幣の代わり。1回のその場の取引で終わるもの・サービスを想定しているため、メーリングリストなどはないと言います。
なんというか、彼は新しい通貨を作り出している、つまり新しいルールを作り出してるんだけれど、それをスケールさせようとしてるわけではなくて、「学祭の通貨」みたいな感覚で行なってる。
でも明らかにそれが「廃材エコビレッジゆるゆる」の盛り上がりには繋がってる。エコビレッジ内ではオンライン環境はなく、手で渡すだけの紙幣だけど、毎日facebookは更新されていき、いいねも伸びている。
藤野で見た/聞いた、そのほかの面白い話をいくつか
・数軒で1つの養鶏場を持っており、当番は特に決めずに皆で鶏を飼っている。時間の空いた時にそれぞれが世話をするがトラブルはない。卵は取り合いになることはなく、むしろ余るほど。近所の子供たちもよく遊んでいる。そして卵を産まなくなった鶏は、羽をむしって鶏肉としていただく。命の教育にもしている。
・シュタイナー学校のPTAの中でも、コミュニティ通貨を作っている。こちらはコミュニティ紙幣に「ありがとう」を書き込んでいく。紙幣型+ログ型、と言える。お母さんたち同士の助け合いを促進しつつ、可視化させる意味を持っている。
学びはスタートしたばかり!
以上、まだまだ私の中で整理できていないところが多くて恐縮ですが、講座終了後にはコミュニティ経済について語れるように書籍や実例など積極的に見ていきたいなと思っています。おすすめあったらぜひ教えてくださいね^^
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