無痛分娩に関する医療者の言葉に、オコな私
下記を先日ソーシャルメディアに書いた。
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先週、家に来てもらった助産師さんに
「あなたはとても母性が強くて愛情深くて、無痛分娩とは思えない!」と言われた。
いやいやいやいや、それ無痛分娩、全く関係ないですよ!と言うと「痛みを通した後は愛情ホルモンが高まるのよ」と。
そこはメイン話題ではなかったので、結局スルーされてしまった。
それでもモヤモヤして、寝かしつけ後調べると、やはり陣痛体験と母性は関係ないと研究結果が出てる。
自治体を通してきてくださったその助産師さん、ほかは変なところがなかった。むしろ優しく寄り添ってくれる方だったけど、ここだけは更新されていなかった。
でも、こういう発言をいろんな場面で自然にしてるんだろうな。
日本の無痛分娩施設の普及率はたった8.7%らしい。
米国は8割, フランスは7割とも言われる(まあすぐ退院させられるけどw)
「24時間無痛病院x NICU」という産院がなさすぎて1時間以上かけて愛育まで通ってた私としては
こういう考えを是非取り除いてほしいと思った。
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ちなみにこの助産師さんには、その後SMSでお礼と共にデータを送った。そうしたら”確かに思い込みで見ていたと思います、ありがとう”と返信が届いた。
ただ昨日、地方でまた友達が医師に「無痛分娩も帝王切開も母が産んだ気にならないからだめだ」と言われたらしく、私はひどく憤りを感じた。その医師は別産科ではないが、それでも認識の古さがひどい。
都心に住んでいる時は変なことを言われたことがないが、こういうのが郊外や地方では普通だと思うと、本当にうんざりする。
実際郊外に住み始めて24時間麻酔分娩出来る施設を探したが、少ない。それにNICUを合わせると、もっと少ない。
なので友人の多くが、無痛がよかったけれど選択肢が家の周りになくて。無痛で生みたかったけれど24時間体制じゃなくて、結局麻酔ほぼなしで産んだ、という人ばかりだ。
出産スタイルは基本的に自由、人によりけり、むしろ選択できない場合もあるが、誰だってそりゃ痛くない方がいい。だって「歯を抜いた気になるために」親知らずを麻酔なしで抜きますか?て話だよ。抜いた後の生活があるから麻酔使うんでしょうが。
どうも私はこのトピックに、熱くなってしまう。思い入れがあるらしい。
というのも、自分の娘たちが数十年後子供を日本で産みたいと思ったときに、おんなじ環境だったら嫌だと思うのだ。
麻酔分娩、本当になんで広まらないのか??
無痛分娩が愛情形成に関係ないことは明らかにデータが出ている。なのになぜ広まらないの?
- 根強い「自然分娩こそ美徳」思想: 「自然分娩こそが女性にとって正しい出産方法」という考え方が根強く存在。
- 痛みへの忍耐強さ: 痛みへの忍耐強さは、日本文化における美徳の一つ。出産時の痛みも「女性として乗り越えるべき試練」と考える向き。
- 医療体制・制度: 麻酔科医不足、医療従事者の意識不足、保険適用範囲の限定など、医療体制・制度面の課題も大きな壁となっています。
- 経済的懸念: 麻酔は10−20万円ほど保険適応外になるので、それで広まらないのもある。フランスやスウェーデンでは公的保険医療でカバーされるらしい。親知らずを抜くときの麻酔には保険が効くのに、なんで分娩に対して効かないのか、と思ってしまうけどね。
1と2は古い考えなので、その発言をきいた一人ひとりが是正していくしかないと思う。
3と4は深掘りしないとわからなかったので、Chat GPT 4.0が今無料ということで聞いてみることにした。
Q.麻酔科医はなぜ増えないの?
1. 麻酔科医の育成環境
麻酔科医の養成には長い期間と高度な専門知識が必要です。医学生が麻酔科医を選ぶまでの過程には、以下のような要因が影響しています:
- 教育カリキュラム:麻酔科医になるためには、医学部卒業後にさらに専門的な訓練を受ける必要があります。この過程が非常に厳しく、時間と労力を要するため、他の科を選ぶ学生が多いです。
- 研修制度:研修医が麻酔科を選ぶ際に、他の科よりも激務であると認識されることが多いです。長時間労働や夜間の緊急対応が多いことから、敬遠されがちです。
2. 労働条件
麻酔科医の労働条件は過酷であることが多く、そのために離職率が高い傾向にあります。
- 長時間労働:麻酔科医は手術の際に長時間の集中が求められます。また、手術のスケジュールは予測が難しく、緊急手術も頻繁に発生するため、労働時間が不規則になります。
- 精神的負担:手術中の患者の命を直接管理する責任が重く、精神的なストレスも大きいです。
3. 経済的要因
医療機関の財政状況も、麻酔科医の不足に影響しています。
- 人件費の問題:麻酔科医の給与は高額であり、特に地方や中小規模の病院では、予算の都合で麻酔科医を多く雇用することが難しい場合があります。
- 収益構造:麻酔科医の業務は手術に付随するものであり、直接的な収益を生むわけではないため、病院側が麻酔科の人員を増やすインセンティブが少ないことがあります。
4. 地域差
都市部と地方部での麻酔科医の分布にも大きな差があります。
- 都市部集中:麻酔科医は大都市の大病院に集中しやすい傾向があります。地方の医療機関では、麻酔科医を確保することが難しいため、地方では特に麻酔科医が不足しています。
データからの具体例
- 厚生労働省の統計によると、2020年時点で麻酔科専門医の数は約5,000人ですが、全国的に偏在が見られます 。
- 医師不足に関する調査では、特に麻酔科は他の診療科に比べて欠員が多いことが報告されています 。
これらの要因が複合的に絡み合って、日本では麻酔科医が不足している現状が生まれています。麻酔科医の育成や労働環境の改善、地域間の格差是正などが今後の課題として挙げられます。
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ふむ。
Q.麻酔科医の給料について産科医に比べて教えて
麻酔科医の給与
- 平均年収:約1,200万円から1,800万円程度と
- 初任給:約600万円から800万円程度。専門医研修が終了後の給与
産科医の給与
- 平均年収:約1,000万円から1,500万円程度
- 初任給 約500万円から700万円程度。
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そうなんだ。麻酔科の方がお給料いい、けどあとはニーズがもっと増えたらいいのかな。
上記はChatGPTなので、全てが合っているとも限らない。あくまで参考に!そしてなぜ広まらないかの内情を知ってる方はぜひ教えてください。
終わりに
私は別に自然分娩を否定してるわけじゃない。皆、自分が一番産みたい形で産めばいい。
ただ選択肢を否定されるのが嫌なのだ。痛みに耐えればなんちゃら、みたいなデータに基づかない昭和な価値観を変えていき、ニーズがもっと広まったら、医療界も、麻酔科の医師を増やして無痛分娩を普及させていくんだろうか。
一旦医療業界ではない外部者の私が分かることは上記の概要くらい。そして麻酔科医を増やすこともできない。
だから、地味にでも、ひどいことを言う人の認識を変えることをしていきたい。
最近日経MJで見たニュースで、「髪色自由プロジェクト」をロレアルが広めてきた結果、髪色自由とする会社が増え、髪色自由にしたドンキはバイトの応募率が3割上がったという記事を見た。
以前は「頭がピンク色なんて」と敬遠される理由だったのが、今は多様性の一つで認められ、珍しいことではなくなった。客の7割が抵抗がなくなったというのだ。
同じように、無痛分娩なんて、と煙たがれたり嫌味を言われるとは思ってもいなかったが、その認識はアップデートされるために何ができるだろうか。結果的に、辛くて長い10ヶ月の妊娠生活の最後くらい明るい気持ちで産める人(=私はそうだった)が増えることを切に祈っている。