10日くらい前のある日。落ち込む事がいくつか続いた。
朝、前の晩の行動を指摘してくれる人がいた。それに「そんな小さい事」と言い返してしまった自分がいた。お昼、コンサルタントのお姉さんに仕事関連の相談をしにいったところ、「あみちゃんは整理するのが得意じゃないものね」と言われた。何事も楽しもうとすることを優先するラテン気質な私は、ともすれば「整っていない」人。発言も行動も整っていないのだ。
こうなると全ての事がくるくるダメな気がしてくる。
だから私はダメななんだ。と落ちこむ日。なんとかもう一つのミーティングは楽しかったものの、夜はふて寝してしまった。
でも、分かってる。指摘してくれる人がいるのは何よりもありがたい。
上辺だけの関係じゃなくて、厳しい事を行ってくれる目上の方々は本当に大事にしなくてはいけない。(目上だけでなく、新鮮な目線をくれる後輩のみんなもだけれど。)
その日も外回り。
前の会社ではお客さんの9割が海外だったため、フリーランスになってからの方が東京都内をグルグルと回る事が増えた。
外回りという言葉がまだかっこ良く聞こえるくらい。
歩いていると背中を太陽が押してくれているような小春日和。ぽかぽかというl言葉がぴったりの11月の空。
その日セルビア大使館でお会いした外交官は、なんと同い年だった。
20代の外交官は初めてだ。ひとしきり自分達の自己紹介とサービスなど仕事の話が終わった後、
私はプレゼンテーションの内容について深堀りし始めた。
大使等特別な場合を除いて、わたしたちは事前にLunchTripGuideにお会いしプレゼン内容を詳しく決める。
何がその人(達)のメッセージなのかを詳しく聞くためだ。
同じ国の事を話すにしても、人により経験は違う。
だから、ストーリーや思いは絶対に変わってくる。
そう言うと、彼は日本と母国の社会性の違いについて話し始めた。
例えば、なぜ久々に再会した兄弟はハグをしないのか、冷たく見える、と思ったところから日本人のコミュニケーションを学んだ話。
友達の3人家族のうち2人が病気になってしまったとき、残る彼女は周りにそれを隠したが、迷惑をかけない文化とは何か考えた事。
お金持ちでも働く事や地位が美徳である日本と、必ずしも職に就く事がかっこよくはない母国。集団主義と言われる日本が実は個人主義だと思った事。
国際的な経験を持った日本人のガールフレンドが、日本で育った友人の前で見せる別の顔。
若い時にお金を使って旅等をせず貯金をする日本人の精神。
外国で暮らした事のある日本人とそうでない日本人は、全く別の人種にさえ感じる。
建前文化と福島の原発・・・・などなどと話すうち、彼と私はミーティングに来た女性と外交官という関係を完璧に超えて、友人になっていた。
外交官や金融業界のエリートが「Bubble(泡) の中」に居る事が多い中、この若い外交官はとても日本社会を面白い目線で見ていると思った。
(この「Bubble(泡) 」は、バブル世代のバブルではなく、外国人の輪、薄い見えないか泡の中という意味でたまに使う。心地よい外国人社会の中から出ようとしない人は多い。これは海外の日本人コミュニティにも同じ事が言える。)
そこで、実は外交官よりも社会学者になりたかったと聞いて、納得した。
だから友人にとにかく沢山質問するのだという。テレビを見ては、町に出ては、出会った面白い違いについて聞きまくるのだと。
わたしも海外に出ると同じで、あなたは好奇心の塊のような人ね!と言われた回数なら彼には負けはしない。
一般的に、日本人の人間関係は外国人には時に排除的に見えるという。
でも、しっかり見ていくととても面白い。
私達は他者と絶妙な「間」をとりながら、「迷惑をかけないように」生きている。いくら変わって来ているとはいえ、
「日本人のガールフレンドとは表面的なところでは分かり合えても、深層心理ではなにかまだ分かり合えてない部分がある気がするんだ。」
その違いが何かとは、私達もわからない。
小さい時から何度も何度も見ている風景や交わしている言葉、感じている気温や食べているもの全てがその違いを作っているのだろう。
私が行っているLunchTripは、その違いを理解し合おうとするのだから容易ではない。
その外交官だって、彼女と何年つきあってもまだその違い何なのかわからないのだ。
彼がわからないことの一つに、日本女性の心があるという。
私達は怒っていても、気持ちを隠して顔では笑うことができるのだ。
「浮気したらパンチされるはずなのに、笑顔でいいよといられたら、僕はむしろ怖いよ」
だからこそ日本女性は世界でモテるのかもしれないけれど、ねえ、ニッポンの女の子達、そうゆうときはパンチしちゃおうよ!
パンチしても、日本女子は充分可愛いと思う。
僕は君をとっても尊敬しているんだ。
僕はとても安全な仕事に就いている。君みたいに会社を辞めて新たな道を切り開く人に会えるなんて、光栄だ。
嘘かホントか知らないけれど、その外交官はそういってくれた。
大使館を出て秋空に向かって歩いていく道で、私は晴れ晴れした気分になっていた。
こうやって一人の外交官と人間同士の出会いが出来る事が、私にはとても嬉しい。
あとは、実にしなくっちゃ!