以前私はシェアハウスに住んでいました。
数十人はいる、大型のシェアハウスです。
2年半ほど住んで、それはそれは楽しい時間を過ごしました。
都内近郊の、デザイナーズハウス。山手線主要駅から3駅の徒歩7分、家賃は一般的な一人暮らしと同じか少し高いくらいの10万円弱。だからか、平均年齢30歳前後のちょっとオトナなシェアハウスでした。
結果から言って、一生モノの「家族」に限りなく近い友人コミュニティができました。離れて住んでる今でも、いつでも戻れそうなくらい。
私は一期生。つまり、オープンした直後に入ってるので、他のシェアメイトともすぐ仲良くなりました。とにかく周りも積極的に楽しみたくてシェアハウスに住んでいるので、交流が自主的で活発。まだ大型シェアハウスが世の中で珍しかったこともあり、マーケティングでいうアーリーアダプタータイプが多かったと思います。
10階以上もある各階との交流も、住人同士が勝手に企画。ウェルカムパーティはもちろん、それぞれの階の特徴を出した飲みの企画、いつも誰かが踊り出してしまうパーティ、お料理教室、何十回やっただろうサプライズ誕生日パーティ、誰かが付き合い出したら「記者会見」、婚約したら大パーティ・・・
文化祭などと言って、学生時代からやったことのないダンスを1ヶ月以上練習したこともあったし、深夜0時からサプライズパーティのためのポスターをデザインして、印刷する、衣装を準備する、ということもザラでした。
お笑いのショーに、オカマバーやキャバクラごっこ、ラジオ番組やテレビ番組が取材に来たことも。ハロウィン、、餃子パーティに肉フェス。企画頭、かなり鍛えられたと思うw
企画はシェアハウス内に止まらない。
夏は海へ。冬は温泉やスノボへ。春と秋はピクニックへ。もちろん全員とは言わなくとも、月1は住民主導で、外部にいくイベントが立ってました。
ランニングやキャンプなど、それまでになかった趣味を私が持ち始めたのもこのシェアハウスに住んだからこそなんだよね。
facebookやLINEには毎日のように楽しいイベントが投稿されてました。
私が卒業するときは、1週間毎日パーティしてもらいました。さらに、サプライズ動画も作ってくれて大卒業パーティも!
人数も多かったですが大したいざこざやトラブルもなく、いつもハッピーでした。もちろんシェアメイト同士のちょっとした喧嘩はあったと思うけれど、記憶にないくらい。
家族やシェア以外の友人に「学生か!」と突っ込まれるほとに青春していました。その時期のブログで、北海道や箱根や軽井沢、大人数で旅行しているのがやたら多いんだけどw、それは大体シェアハウスメンバーです。
今でも当時のメンバー共通の、必笑鉄板ネタがたくさんあります。年末年始も、彼と喧嘩した時も別れて泣いた時付き合った時も、真面目な時も泥酔した時も、仕事で嬉しい思い悔しい思いをした時も、転職した時もやめた時も、帰ればシェアの友達がいました。(そして、もちろん今も親友。)
そして、「老後またシェアしようよ」「20年後も30年後も、この階の住人はいつまでも元気で面白い人たちだったら面白いよね」なんて話してました。
なので、ビル全体が安心して過ごせる場所で、盗難はもちろん、小さなトラブルも笑いのネタにできるくらい。居心地いい場所でした。
ここを含めいくつかをもつ運営会社にとっても、私たちのシェアハウスは「上手くいっている」と評判だったらしい。他のシェアハウスに比べて、まさに「自走するコミュニティ」状態だったんです。中の盛り上がりからか、常に入居者はいっぱいで、入居待ちの状態が続いていました。
だから、運営会社は「コミュニティ」に関しては何もしなかった。もちろん不動産として洗濯機が壊れたら対応したりはしてくれましたが、それも、最初の方は早く、後半は遅かった。
しかし、私を含め、皆1期や2期の入居者が、ライフステージが変わることでほとんど出てしまってから、様子が変わります。
毎日のようにたくさん更新されていたfacebookグループは、パッタリ止んでしまいました。今でも住んでいる友人がいるので、先日遊びに行くと、他の階に住んでいる人のことは誰も知らないと言います。行ったことがない人もたくさん。もう出て数年経つ私が、なぜか他の階を案内するという変なことに。むしろ同じ階でも顔をあまり出さないらしい。つまり交流がない。
おそらく、あんだけ仲よかった私たちと同じような生活を望んでいないのかも。静かに過ごしたいのかもしれない。でも、だったらわざわざ貴重な20代/30代でシェアハウスに住む意味ある?
最近、3年住んだ入居者が、「今日引っ越しからこの家具いりませんか」とfacebookグループにアップされた時、私はショックだった。
彼女ほど、シェアハウスのために活躍・貢献した人だったら、以前なら必ずさよならパーティがあったはず。
なのに、アップされた投稿についたのはシェアハウス卒業生からの「出ちゃうの!?」というコメントと、「初めまして、家具引き取りたいです」というコメント。
さようならなのに「初めまして」なんて!以前は、滅多にありえないことだったからショックだったんです。
私はお伝えしたいです、このシェアハウスの運営会社に。
いくら自立してるコミュニティに見えても、全く手を入れず努力をしないで、コミュニテイは保てないんだよ。
このままだと、お互いを知らないことから「疑念」が生まれ、何か事件が起きてしまう可能性だってある。
もちろん、住人のフェーズやニーズも変わってきてるとは思うけれど。今からでも手をいれるのは、遅くないよ!
住環境や職場環境など、長く過ごす場を共有している場合、良いコミュニティと、そのマネジメントは必要不可欠です。
そして、皆さんも自分のコミュニティにおいて、もう「自走してるから放置OK」ではなく、適度にマネジメントして活性化するように動いてください。
基本的なコミュニティ運営・・・例えばオンラインでもオフラインでも、初めて入った人を紹介投稿したり、ウェルカムパーティを企画したりすることが、最初のきっかけになる
放置したら死ぬ。コミュニティは生物です。勝手にグイグイ伸びてるように見える植物も、何もしないでおいておくと枯れちゃうんだよ。